作品NO.74 3300字
<1クール尺以下・OVA> の 良作
ジャンル 異能バトル・アクション・眼鏡ヒロイン・タレント声優起用
屈指の眼鏡ヒロイン、読子・リードマンここにあり!異能バトルかくあるべし!
作品NO.74 『R.O.D -READ OR DIE-』
<1クール尺以下・OVA> の 良作
※指標:90(めちゃくちゃ良い)>75(良い)>50(2流)
世界観:80 脚本/構成:75 演出:85
キャラ:90 演技(声優):85
引き:75 劇伴:85 作画:85
Ave. 82.5
ネタバレ厳禁度:★★★☆☆
作品データ/スタッフ/キャスト
2001年
OVA作品
全3話
オリジナル作品(原作:倉田英之)
監督:舛成孝二
シリーズ構成:倉田英之
キャラクター原案:羽音たらく
キャラクターデザイン:石浜真史
音楽:岩崎琢
アニメーション制作:スタジオディーン
読子・リードマン:三浦理恵子
ナンシー・幕張:根谷美智子
ドレイク・アンダーソン:岩崎征実
ジェントルメン:外波山文明
ジョーカー:郷田ほづみ
『R.O.D -READ OR DIE-』 とは
2001年から2002年にかけてアニプレックスから発売されたOVA作品であり、アニメ脚本の名手、倉田英之氏が手掛けたライトノベル『R.O.D READ OR DIE YOMIKO READMAN “THE PAPER”』が原作です。
『R.O.D』自体は、アニメの他にも小説、コミック、ゲームなど多岐に渡るメディアミックス展開がなされている人気シリーズ、といってもよいでしょう。
このOVA版アニメでは、「紙使い」という、紙を自在に操ることのできる能力(鋭利な剣や防御シールドとして使ったり、更には巨大紙飛行機を作って空を飛んだり……etc)を持った秘密エージェントである読子・リードマンの活躍が描かれます。平賀源内(下図)、一休宗純など、過去の「偉人」達が何故か現代に異能力を操る超人として出現し、何かを目論んで動き出した、その陰謀に読子と組織の仲間達が対抗していくのが大雑把なストーリー。
引用元:(C) 2001,2002 スタジオオルフェ/アニプレックス
筆者は、原作などは未読、アニメが世間で高い評価を受けていることは知っていてずっと気になっていた作品であったのですが、今回ようやく視聴してみて、噂通りの出来栄え、久々に質の高いエンタメ作品を満喫できたというのが率直な感想です。
このOVA版の続編となるのが全26話からなるテレビ版『R.O.D -THE TV-』で、どちらもそれ単体として楽しめますが、二つを全て見てこその『R.O.D』であるでしょうし、まず先にOVA版を見てからテレビ版を見ることでより楽しめるとも思いますので、これから本作を見られる方にはそこは強く推奨しておきたいですかね。
今なら両方ともdアニで視聴可能ですよー。滅多に配信で見かけない作品である気もするので視聴はなるべく早くがよいかもです!
『R.O.D -READ OR DIE-』 ここが良かった!
- 屈指の眼鏡ヒロイン、読子のキャラ造形
- 異能バトルかくあるべし!作画充実、迫力のバトルシーン
屈指の眼鏡ヒロイン、読子のキャラ造形
偉人達の企み・野望とは一体何なのか?黒幕は誰?など、本筋となるストーリーは意外性のある展開などもあり、全3話(1時間弱)という尺の中でそれなりに満足いくものとなっているかと思いますが、本作最大の魅力は?と問われれば、ヒロイン・読子のキャラ造形に尽きる作品、ということになるでしょうか。
引用元:(C) 2001,2002 スタジオオルフェ/アニプレックス
眼鏡(以外にも実は巨乳)というある意味定番要素を備えた外見もそうですが、無類の本好きで、本を読むことに没入している隙に敵にやられてしまうのではないか、と本気で心配になるようなところや天然キャラ、不思議ちゃんと称してもよいおっとりした性格が特徴であり魅力です。
弱い?大丈夫か?と心配させておいて、いざという危機迫る状況になるとこれがまた強い!そのギャップがたまらない魅力なのではないかと思います。
そして、そんな読子を稀有なキャラ造型として決定的なものとしているのが、声を担当した三浦理恵子さんでしょう。はっきりいってこれは実にクリティカルなキャスティングだ!と思わざるを得ないのですが、所謂本業の声優さんでないタレントの声優起用であることもそう思う理由として大きいでしょう。どこか弱々しくて危なっかしい天然キャラ、だけどやる時はやる正義感ある優しくて強い少女、という読子のイメージを体現するかのような三浦さんの声音や演技が本作を何倍にも面白く引き立てているといっても言い過ぎではないでしょう。
引用元:(C) 2001,2002 スタジオオルフェ/アニプレックス
異能バトルかくあるべし!作画充実、迫力のバトルシーン
バトルシーンの凄さについては、とにかく1話のファーブル(あの有名な昆虫学者のファーブルです…)戦をまず見ていただければ納得していただけるのではないかと思います。
高揚感のあるバトルシーンの音楽をやらせたらおそらく業界内でも5本の指に入るのではないか、という岩崎琢氏の音楽がやはり相変わらずの出色のクオリティでシーンにカタルシスを付与しているのですが(川井憲次氏得意のサウンドに少し寄せたかなという印象もありますが……)、そこに先程述べた、やる時はやる読子のギャップの魅力も加わる。紙を自在に変化させて戦う異能バトル設定もアニメーション表現と実に相性がよく絵的に映えるのですが、読子の挙動の緩急と紙の大胆でケレン味ある視覚的変化がドライブ感を作り、それが音楽の力で増幅されることで、背筋にと来るゾクリようなカタルシスを感じる傑出したバトルシーンになっている。
もう少し突っ込んで話すと、紙が変化する瞬間のみ映像がフルアニメーション的な挙動を見せるところもまた他との差異や緩急として非常に効果的に活きており、そうやって考えてみると、本作は様々な側面においてギャップを巧みに活かした作品と捉えることもできるのかなあとか。
上記のバトルシーンや読子の魅力は更にパワーアップして続編となるテレビ版にも引き継がれていきますが、その辺の詳しい話はテレビ版の紹介記事をご参考に。
評価・採点
作品評価
良作
傑作 絶対観た方がよい作品
名作 観るべき、マストではずせない作品
良作 観た方がよい(がマスト!とは言い辛いかもという)作品
佳作 時間があるなら是非観ることを勧めたい作品
水準作 普通だが見どころは(十分)ある作品
凡作 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品
失敗作 ほぼ全否定、何とも残念な作品
傑作・名作 傑作と名作の中間(ただしカテゴリは名作とする)
傑作>名作 傑作寄り(同上)
傑作<名作 名作寄り(同上)
※惜作 名作になりえた惜しい作品
※超神回 ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品
レーダーチャート評価
世界観:80 脚本/構成:75 演出:85
キャラ:90 演技(声優):85
引き:75 劇伴:85 作画:85
Ave. 82.5
100 唯一無二、これ以上はそうそう望めない最高峰
95 最高、傑作レベル、文句なし、その作品にとってなくてはならない
90 めちゃくちゃ良い、名作レベル
85
80 かなり良い、良作レベル
75 良い
70 なかなか良い、佳作レベル
65
60 普通、水準作レベル、少々物足りないが及第点は出せる
50 凡作レベル、2流
30 失敗作レベル、3流
ネタバレ厳禁度
★★★☆☆
少し注意。ネタバレによって面白さ・衝撃度が少し低減する可能性あり
関連商品
円盤
配信もよいですが、円盤で腰を据えてじっくり何度も視聴するならOVA版、TV版両方収録でその他特典も充実しているこちらのBDboxを買うのがよさそうです。
国内版なのでそれなりに値は張りますが、内容は間違いない作品なので財布に余裕があるならこれをポンと買ってしまっても損はないかと思います(ブルーレイ画質的にどこまで向上しているのか、レヴューを見渡すと少し不安はありますが、お金に余裕が出来たら私も是非買いたいところ……)。
サントラ
作品の顔といってよいくらいに本作は劇伴の質も高いので、サントラも余裕があれば揃えたいところ。OPのインスト曲や定番の戦闘曲あたりをきっちりした音源で聴きたいですね。
フィギュア
顔の造形が少しイメージと違うかな、というのはありますが読子&フィギュア好きとしてはまあそそられる商品ではあります……。
執筆者 : PIANONAIQ (@PIANONAIQ)
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