伝説のエロアニメ:『ヨスガノソラ』(2010) レヴュー/作品紹介〈ネタバレなし〉

10年代
10年代 水準作

作品NO.17 5000字


<1クール> の 水準作 


ジャンル 恋愛・ドラマ・官能(R15+指定)


 

ワンツイートレヴュー
エロゲ原作の問題作。静かな田舎町の風景哀愁漂う弦の響きが印象的な劇伴を背景に描かれる、衝動を抑えきれずに激しく交わる若者達の踏み込んだ性行為シーンが何とも鮮烈な印象を与える。語り草になっている兄妹の禁断の壮絶修羅場シーンは想像の斜め上を行くアニメ史に残る衝撃的シーンである。

 

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※旧サイト記事(初投稿:2017/10/31)

 

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ヨスガノソラ(全12話)
都市部から遠く離れた片田舎、奥木染(おくこぞめ)。春日野悠は、妹の穹を連れてその町に向かっていた。そこは幼少の頃夏休みに何度も訪れ、過ごした祖父の家があり、懐かしい場所であった。不慮の事故により両親を亡くし、拠り所を失った2人は、今は誰も住んでいない祖父の家に引っ越し、そこで暮らす事を決める。小さい頃から、あまり変わっ...

 

 作品NO.17 『ヨスガノソラ』

1クール> の  水準作 

※指標:90(めちゃくちゃ良い)>75(良い)>50(2流)

世界観:80  脚本/構成:55  演出:75

キャラ:65  演技(声優):70 

引き:70  劇伴:70  作画:70       

Ave. 69.38 

ネタバレ厳禁度:★★★☆☆

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 作品データ/スタッフ/キャスト

 

2010年 10月~12月

TOKYO MX、他

全12話

ゲーム原作(Sphere)

 

監督:高橋丈夫

シリーズ構成:荒川稔久

キャラクターデザイン:神本兼利

音響監督:岩浪美和

音楽:三輪学Bruno Wen-li

アニメーション制作:feel.

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春日野 悠:下野紘

春日野 穹:田口宏子

天女目 瑛:阪田佳代

依媛 奈緒:いのくちゆか

渚 一葉:小野涼子

 

 

pianonaiq
pianonaiq

この作品、名前が難しいキャラが多いんですよね……

 

 

『ヨスガノソラ』とは? 

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 2008年にSphereより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームを原作とするアニメ作品です。

 

 両親を亡くした双子の兄妹、兄の春日野 悠(かすがの はるか)と妹の(そら)が都会から離れた山里にある奥木染町(おくこそめちょう)へ移り住みそこで兄妹2人の生活を始めるところから物語は幕を開けます。

 

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 二人が住むのは、かつてこの地で医者を営んでいた亡き父方の祖父母の家、ということで二人にとって奥木染町は幼少期の思い出も残る、ある程度馴染みのある土地。

 

 よって、近所に住む依媛 奈緒(よりひめ なお)など、幼少期に何らかの関わりのあったキャラも登場してきます(下図)。

 

依媛 奈緒(cv:いのくちゆか)

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 また、新たな土地で学校に通い始める中で新しい人間関係も構築されていきますが、美男美女の兄妹が都会からどうして二人だけで田舎に?といった具合に、皆が一様に何らかの特別な眼差しを二人に向けます(田舎に住む年頃の女子たちが都会から来たイケメンのにどこか色めき立つような視線を向けるのもまあ当然かな、と割と納得できる描きになっているのは、ハーレムものとして見た場合の本作の美点でしょうか)。

 

 都会から来た兄妹によって、静かだった田舎町にちょっとしたさざ波が立ち、そこに住まう人間達の心に何かざわりとした熱いものが芽生え始める、といった感触で物語が展開されていく作品です。

 

 

 主人公・深く関わることになるメインヒロインは、先程の奈緒、妹の以外に、巫女で神社に住まう天女目 瑛(あまつめ あきら)、地元代議士の一人娘で才色兼備のお嬢様である渚 一葉(みぎわ かずは)の二人。

 

天女目 瑛(cv:阪田佳代)

渚 一葉(cv:小野涼子)

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 

 深く関わることになる、とはすなわち……

 

 そうです、エロゲ原作の本作は、ずばり言ってしまえば、と上記のメインヒロイン4人とのドラマや恋愛模様(時として愛憎劇も…)、及びそれが行き着く先の「性行為」を描く物語ということになります。

 

 特徴的なのは、4人のヒロインそれぞれに用意されたエピソード(ルート)を描いていくにあたり、ひとつのルートが終わるとその都度時系列が戻り次のヒロインルートが異なる世界線の物語として描かれる点。

 

 これにより、主人公に対して「手当たり次第に美女たちをたぶらかせていく二股三股の最低野郎」という負の印象を抱くのを回避できるのは良い点といえるかもしれませんが(?)、ワンクール全12話の尺を活かしたドラマの積み重ねキャラの掘り下げという点ではマイナスに作用している印象が強く、ここは賛否意見が分かれるところだろうと思います(筆者の場合は、やはりここに起因する物足りなさがレーダーチャート評価の「脚本/構成」の点数に大きく影響してしまった感じです)

 

 性行為を描く、とはいっても、それはあくまで各ヒロイン攻略後のご褒美的なお色気シーンという位置づけであって、もちろん作品の主軸となるのは恋愛ドラマとしての側面でありますし、兄と妹のただならぬ複雑な関係性を描くというメインテーマにおいては一目置く光る部分のある作品といえるでしょう。

であるからこそ、ワンクールの積み重ねを活かしてもっと兄妹の描きを深くやってくれていたら、という惜しさをより感じたのだとも思います。

 

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

『ヨスガノソラ』 ここが良かった!

 

  •  美しい田舎町の風景と弦劇伴によって鮮烈さを増した性描写
  •  エロすぎる巨乳眼鏡ヒロイン・依媛奈緒

 


 美しい田舎町の風景と弦劇伴によって鮮烈さを増した性描写

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 前項で性行為(エロ)シーンをご褒美的お色気シーンと位置付けましたが、メインとなるドラマの描きに十全には満足できない形で物語が終わってしまうこともあり、全体としては、やはりエロシーンの方が強烈に印象に残る作品ということになってしまうのかなと。

 

ただ、そのエロさに関していえば、これはもう一級品といえる作品ではないかと思うわけです(笑)

 

 

田舎の若い子たちって普段他に何もやることがないのでセックスばっかやってるんだってさ

なんてことを大昔に級友の誰かから聞いた記憶が薄っすら残ってますが、本作はある意味、これを地で行く作品かもしれません……(笑)

 

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 衝動を抑えきれずに相手の体を求める若者たちの姿が刻まれていきますが、美しい田舎町の背景美術はなかなか素晴らしいですし、弦の響きが印象的な美しい劇伴もクオリティが高く(この時点で単なるエロアニメでないのはある意味で自明ともいえるのですが)、この辺のクオリティの高さによって確実に性行為シーンの衝撃度は引き上がっていると思います。

 

 それに加えて、監督が『狼と香辛料』や『まおゆう魔王勇者』『六花の勇者』『citrus』などを手掛けた高橋丈夫氏ということで、エロを描く演出の高さにも目を見張るものがあると。

 

 「僧侶枠」などともいわれ、近年、深夜アニメの定番枠となりつつあるエロアニメ作品群と比べた時、やはり『ヨスガノソラ』のこうした演出の切れ味や兄妹の禁断シーンを描くなどの衝撃度は今尚色褪せず頭一つ飛びぬけたものになるのではないかと思うのですが、どうでしょう?(僧侶枠作品を全てしっかり見ているわけではないのでかなり憶測で語ってはいますが)。

 

 高い演出力でエロに全力で情熱を傾けた作品、として本作の攻めた姿勢や志の高さ(?)を私は高く評価してます。

 

 エロすぎる巨乳眼鏡ヒロイン・依媛奈緒

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 4人のメインヒロインはそれぞれに個性があって良い(エロい)のですが、中でも眼鏡に巨乳という深夜アニメヒロインの定番的容姿を備えた依媛 奈緒のエロさは一際強烈でした。

 

一線を越えたエロ画像の貼り付けは流石にまずいということでこれくらいに踏み留めます。是非本編で!

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 私は別に眼鏡キャラや巨乳が特別好きというわけではないのですが、それでも「これはやばいな…」と思わざるをえない描きが奈緒に関しては多々見かけられたように思います(とはいえ、この辺は好みや性癖の問題にもなってくるでしょうし、感じ方は人それぞれでありましょう……)。

 

 

春日野 穹(cv:田口宏子)

引用元:(C)Sphere/奥木染町内会

 

 妹のは本作の本命ヒロインともいえる存在であるわけで、世間ではやはり高い人気があるようです。彼女が見せる大胆でアグレッシブな行為・行動の数々も実に鮮烈ですが、冒頭にも書いたように、兄妹の禁断の壮絶修羅場シーンがやはり本作最大の目玉であり見せ場になろうかと思います。

これに関しては、まあ、おそらく想像の斜め上を行く衝撃があるかと思うので楽しみに見ていただければ、とだけ書いておくことにします(笑)

 

 最後に

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 ここまで、私が考える『ヨスガノソラ』に魅力について書いてきましたが、誉めてる割に評価、採点に関しては「あれ、評価も点数も結構低め?」みたいに感じられる方もいるかと思うので、最後にその辺の補足説明をしておこうかと思います。

 

 エロに限っていえば素晴らしい大いに評価できる作品、であることは前に書きました。また、エロいキャラを魅力的と捉えるならば「キャラ」の項目でもっと点数を上げることもできたとは思います。

 

 あくまで今回の評価採点は、本作の物語やドラマの描き(に付随するキャラの魅力などあれこれ)に重きを置いたものという感じですね。前にも書いたように「脚本/構成」の部分がもっと満足いくものだったならば、評価を【佳作】【良作】にしてもよいくらいの作品であるとは思います。

 

 

 何だか最後までエロエロばかりの、エロ推しの文章になってしまいましたが(笑)、一見の価値のある鮮烈な作品だと思いますので、お時間ありましたら是非視聴してみて下さい。

 

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 評価・採点

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 作品評価      

 水準作 


 

 傑作   絶対観た方がよい作品 
 名作   観るべき、マストではずせない作品 
 良作    観た方がよい(がマスト!とは言い辛いかもという)作品
 佳作   時間があるなら是非観ることを勧めたい作品 
  水準作    普通だが見どころは(十分)ある作品

 凡作   酷いが全否定ではない、どこか残念な作品 
  失敗作    ほぼ全否定、何とも残念な作品 

 傑作・名作   傑作と名作の中間(ただしカテゴリは名作とする)
 傑作>名作   傑作寄り(同上)
 傑作<名作   名作寄り(同上)

※惜作    名作になりえた惜しい作品
※超神回  ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品

 

作品評価順リスト(=「見て損はない作品」ランキング )はこちら

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 レーダーチャート評価 

 

世界観:80  脚本/構成:55  演出:75

キャラ:65  演技(声優):70 

引き:70  劇伴:70  作画:70 

Ave. 69.38


100 唯一無二、これ以上はそうそう望めない最高峰
95   最高、傑作レベル、文句なし、その作品にとってなくてはならない
90   めちゃくちゃ良い、名作レベル
85
80   かなり良い、良作レベル
75   良い
70   なかなか良い、佳作レベル
65
60   普通、水準作レベル、少々物足りないが及第点は出せる
50   凡作レベル、2流
30  失敗作レベル、3流  

 

・ 各パラメータが含むもの、点数の付け方など、詳しくはこちら
Ave.と作品評価は別、つまりAve.が75でも  名作  にすることは可能
・ これまで扱った全作品の採点等は作品評価順リストの方に纏めています

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 ネタバレ厳禁度

 

★★★☆☆

 

少し注意。ネタバレによって面白さ・衝撃度が少し低減する可能性あり

 

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円盤

 

 

pianonaiq
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国内版BDボックスです。円盤だと修正部分が解禁となったエロシーンの完全版が見られるみたいですね。本作を気に入った方で、お金に余裕があるならばやはりこれを買うのが一番かと思います。

 

 

 

pianonaiq
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お財布事情が厳しい方で視聴環境が整っているならば、海外版はやはり圧倒的に安いので大きな選択のひとつでしょう。実は私も今回この記事を書くにあたり作品熱が高まった勢いで先日注文しちゃいました(笑)

フィギュア

 

  

 

pianonaiq
pianonaiq

フィギュアはやっぱりのものが多いですね。私は穹にそこまで特別強く惹かれるものはないのですが、フィギュアも作品本編同様に結構攻めたものが多いのだなと…(笑) 一番左のがイメージ的にも出来が良い印象です。

 

 

 


執筆者 : PIANONAIQ (@PIANONAIQ

 

 

ヨスガノソラ(全12話)
都市部から遠く離れた片田舎、奥木染(おくこぞめ)。春日野悠は、妹の穹を連れてその町に向かっていた。そこは幼少の頃夏休みに何度も訪れ、過ごした祖父の家があり、懐かしい場所であった。不慮の事故により両親を亡くし、拠り所を失った2人は、今は誰も住んでいない祖父の家に引っ越し、そこで暮らす事を決める。小さい頃から、あまり変わっ...

 

 

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